nuloの日日是好日

今日の一言

「悪との距離」観賞

 f:id:nulo:20210828153614j:plain

 

Amazonプライムで評価の高い「悪との距離」見た。
台湾ドラマは初めてだけど、
見ごたえある質の高い社会派ドラマだった。

面白くて全10話を(各50分程)数日で見てしまった。
でも、キャスト名が なかなか覚えられなかった(汗)
字幕には名前にフリガナがふってあっても、
見慣れない漢字で画数も多く、すぐには頭に入らない。
台詞を一時停止しては何度も誰のこと?と確認した(^^;

f:id:nulo:20210828153811j:plain

 
 ※ 個人的感想にはネタバレも含みます
 
物語はと言うと…
無差別殺人の犯人が早々に死刑となるが、
事件はこれで終わらず、ここからが始まりだった。
残された加害者家族と被害者家族の心情と葛藤を軸に
彼らを取り巻く報道陣や弁護士のあり方を描いていく。
さらに身近な精神病患者や世間の目を通して、
各々の立場を色んな角度から追っていき、
深く、重いテーマに考えさせられること しばしば。
 


無差別殺人を犯した男のせいで、
加害者家族は世間から冷たい目で見られる。
死刑となった男はもういなくても、
その家族は一生 加害者として負い目をかかえ、
罪を償っていかなくてはいけない。
土下座して謝罪しても許されるわけもなく、
被害者のために自営の店を売り、家を処分し、
街から離れ、ひっそり身を潜めて生きていく。

生計立てるため、細々とチマキ売りを始めた加害者の母に
弁護士が「辛くても逃げたらダメ。
今のままで生きてると言えますか?」と問う。

だったら どうしろと言うんだ!と思うよね。
母親は息子が殺人犯であっても守りたいし、
救いたい気持ちは捨てられないけど、
毎日2時間も寝られず、なぜ息子が悪いことをしたのか、
自分が犯人を育ててしまったのか、
こんな親はいない、母親失格だ、と自分を責める。
きっとこの先も ずっと心に痛みを持ったまま
一生責め続けるんだろうな。

被害者家族も、加害者家族には罪はない、
そう頭では分かっていても許せない。
どう許せば良いのかが分からない。
遺族側も延々と辛い葛藤が続いている。


犯人の妹は世間の目を避けるため、名前を替え、
親から離れ、新たな環境で仕事にも就いた。
何も知らない居候先に統合失調症の男性がいて、
彼に対する世間の差別や偏見もドラマでは取り上げている。
この彼を支えているお姉さんが非常に立派な人なのに、
弟は病気のせいで事件を起こし、破談となってしまう。
(結局 その程度の婚約者だと分かって良かったよ)
さらに、こんな大変な時に父親が病気で倒れてしまう。
そんな状況の中、悪いことは重なる。
同居させてる彼女が メディアで加害者家族として
見世物状態となり、無差別犯の妹だと知るものの
このお姉さんは それでも同居を拒まないし、
仕事を無くした犯人の妹を自分のお店で働かせる。
すぐさま世間の批判をあび、お店にお客が来なくなるのに
「皆、大切な家族だから」と明るく必死に守る。
このお姉さんは どんなに困難が押し寄せても決して屈せない。
泣き言を言わず、家族の為に歯を食いしばるのだ。
(だから最後に 大きなご褒美もらえて私も嬉しかった)
このお姉さんが健気で、まるで自分をみてるようで泣けたよ。
(自己評価高すぎるかな?汗)


加害者の親が港でチマキを売っても、
メディアが執拗に彼らを追ってくるせいで、
誰も買ってくれない。
でも生活のため、売れないと分かっていても仕事に出る。
そして今日も売れなかった…と落胆してお店を閉める時、
ずっと彼らを見ていた一人の釣り人が
チマキを5個買ってくれた。
それも お釣りをチップとしてくれたのだ。
この釣り人は 彼らも被害者なんだと思ったんだろうね。
このシーンは本当に嬉しくて号泣したけど、
誰かが救いの手を差し伸べてくれると
たとえ同情であろうと、理解してもらえたようで
安心するものね。

終盤で、無差別殺人事件で車椅子生活となった被害者の少年が
以前のように またバスケをする気になった時、
そこには加害者の親がいて、彼の車椅子を押していた。
ここでも お互い和解へと歩み寄っていることに感動して泣けた。
 

ドラマでは他の事件もいくつか取り上げてるけど、
一方的に流された情報を鵜呑みにし、そこに便乗し、
ネットの普及と共に無責任な発信が一気に拡散されていく。
これ、すごく怖いことだと改めて思った。
加害者の妹が「メディアは兄より酷い殺人だ!」
と叫んだように、報道や視聴者のあり方も問われる。
 

犯人が突然の死刑執行となった為、
動機がわからないままとなってしまったけど、
無差別殺人は悪そのものだからこそ
「原因を見つけ、次なる事件を起こさないようにすることが大事」
と弁護士が言ってた意味に納得もした。
 
日本でも無差別殺人事件は多々ある。
その都度 大々的に連日取り上げられるので、
犯人を知ってる人達は、その家族を見る目も変わる。
時間がたてば事件のことは少しずつ忘れるとしても
加害者家族としてのレッテルは一生消えない。
 
弁護士が「善と悪に違いはあるのか?
何も違はない、同じ人間だ」と言った通り、
ドラマでは誰もに公正な目で、
人権を守ることに徹していたと思う。
被害者家族は言うまでもないが、
加害者家族も苦しんでる。
どちらも守られる環境は難しいけど、
こういう残酷な事件がなくなることを祈るのみ。
 
 
 最後に、笑う門には福来る、と
「ハーハーハー!」と大きな声で妹が笑ってた。
  福が来る保証はない
  保証されてたら わざわざ信じない
  保証がないから信じる

皆に幸運が訪れるよう
私も希望を持ち、そう信じて生きていかなくては。
ハーハーハー!