nuloの日日是好日

今日の一言

『日日是好日』観賞

f:id:nulo:20210629210252j:plain

 
映画『日日是好日』観賞
 
茶道を軸にして話しが展開していく。
と言っても 茶の道を極めるわけではなく、
何となく続けていたら それが日常となり、
日々やってきたことが自然に身に付き、
その積み重ねで成長していく女性の話し。
継続は力なりってことです。

劇中、2年後~、10年後~、25年後~と
時間がサラッと流れていく。
その間、彼女には破談や親の死と言った辛いこともあったけど、
それを乗り越えながら前に向かって歩んでいく。
…あぁ、自分もこうして過ごせていけたら良いな。
あの時は大変だったけど 何とかなるもんだな~、
そう思える日が早く来て欲しいな~と思ったら泣けてきた。


主役の黒木華は何の取り柄もない地味な役。
(見た目の派手さがない分、適役だった)
彼女は長年 茶道習ってる割には 最後まで見事な作法が見られず、
だからなのか、いつも ほんわかしてる希林先生に
“10年もやってるんなら もっと工夫しなさい!”
ピシャッと叱られてた。
生き方まで指摘されたようで痛かっただろうに、
彼女はそこまで深く気付いてないのかな。
そこがまた彼女の良さでもあるのかな。
逆に、全ての所作が美しく、人生達観した先生は、
普段は優しい語りで心に沁みる言葉を彼女に投げかけ、
“教えることで教えられることもある”
と、今後の道を開いてくれた。
素晴らしい師匠だ。


終盤で希林先生が
“毎年同じことの繰り返し、でも それって幸せなこと”
と言ってた。
人生 突然何が起きるか分からない。
いつ生活が一変し、当たり前だったことが全て奪われ、
時間が止まり、身動きも出来ず、
無力感しかない毎日を過ごす今の自分にとっては、
希林先生の言葉は重く、羨ましくもあった。
この映画で一番心に残るシーンだ。


映画は淡々と進むので退屈な人もいるでしょうが、
希林先生が“目の前にあることに集中するの”と言ってたように、
今しか出来ないことに取り組み、良いことも悪いことも
あるがままを受け入れ、毎日それを繰り返す。
それこそが幸せで 日日是好日なんだろうな。

良い映画でした。



映画の冒頭で幼い彼女がフェリーニの『道』を
見に行くシーンがあった。
あの年では 理解出来なくて当然だろうけど、
年とったからこそ共感できる部分もあるし、
環境によっても受け取り方が違うだろうから、
自分も彼女みたいに機会あったら『道』を見直したい。